お知らせとレポート
岡山県倉敷市の支援学校と初のオンライン授業を実施
9月9日(水)、そらべあ基金は岡山県立倉敷まきび支援学校の中学部2年生17名と、初のオンラインによるそらべあ環境教室「地球温暖化と再生可能エネルギーについて学ぼう!」を行いました。
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スクリーンとプロジェクターとタブレット端末でそらべあ基金と接続完了!
今年は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、学校や各種団体の開催による環境イベントが軒並み中止となり、対面活動の機会がぐっと減りました。コロナ禍の影響は、大人の生活様式にも大きな変化を及ぼしましたが、子どもたちは、政府による2月末の全国一斉休校要請により小・中・高校、特別支援学校が休校するなど日常生活は一変しています。
そらべあ基金では春から新企画を実施し、4~8月末まで「おうちであそぼう!そらべあぬりえ」オンラインコンテスト、8月は「夏休み「ソーラーちょうちんランプ」をつくろう!」オンラインワークショップを行いました。オンラインという特性を活かし法人サポーターである毎日新聞社発行「毎日小学生新聞」を通じて全国に情報発信を行い、普段、首都圏でのイベントにはなかなか参加できない地域の親子も参加いただき大盛況となりました。
そして今回、毎日小学生新聞をご覧になった岡山県立倉敷まきび支援学校の先生からお問合せいただいたことがきっかけとなり「岡山県」と「東京都」を結ぶオンライン授業が実現することになりました。
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生徒さんが授業の開始にしっかりご挨拶
岡山県立倉敷まきび支援学校は、2年前(2018年)の夏、西日本豪雨災害で被災されています。決壊した小田川に近い校舎は2階の床上5㎝まで浸水。各学部は別々の支援学校を間借りしたりグランドにプレハブ校舎を建てたりして授業を行ってきました。ようやく昨年9月に校舎の復旧が終わり、全学部揃って真備町の校舎での授業が始まったそうです。同校のホームページには被災から復興までの足跡が掲載されています。教室には、大型スクリーンが設置され、タブレットが導入されるなどオンライン授業への環境が整っていました 。今回のオンライン授業が実現した背景には、学校側の通信環境が整備されていたハード面と、外部団体との協働による授業などソフト面の要因があったと思いました。
そらべあ環境教室では、北極で生きるホッキョクグマがどのように暮らしていて北極ではどんな変化が起きているか、「そらべあ」物語の動画や氷の変化を年代別に比較する写真をみたあと、それらに関係する地球温暖化が世界や日本の気候変動にどのような自然災害を引き起こしているかスライドで見ていきました。
双方向の参加型授業となるよう、途中でクイズも盛り込みます。先生方に事前相談し、生徒さんが参加しやすいアイデアを出していただきました。クイズの答えは「赤・青・黄色」の3色のカードから色を選び、その場で1色あげてもらう方法にしました。これならば全員が参加できます。オンラインでもやり方がわかりやすく楽しいやりとりができて、正解者もたくさんいることが見てわかりました。
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クイズ:地球温暖化の影響で起きている気象現象は?「台風」を示す黄色のカードが多く上がります
地球温暖化の原因には、私たちの便利な暮らしにかかせない「エネルギー」が関係し、そのエネルギーをつくるために温室効果を高めるCO2の排出が増え続けている関連性を伝えました。そこで、CO2の排出が少ないエネルギーの作り方として、自分たちで「手回し発電」にチャレンジしました。今回の実験に必要な器材は、学校から近距離にある環境学習施設「アスエコ」さんと連携していただき無料貸し出しを利用してもらいました。学習内容の幅を深めて広げることができるため、大いに利活用したいサポートではないでしょうか。
教室では、電球とLEDの手回し発電の比較や、手回しで「わんわん」「うさぎさん」などを動かすなど、生徒さんに応じた体験を行ってもらいました。
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わんわん、と声をきくには電気をたくさんつくらないと!
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よーいどん!うまく灯りはともったかな?
全員が可能な範囲で体験したあと、先生から気がついたことを何人かにインタビューしてもらうと「手で回すのが大変」「電気をつけることができた」などや、普段何気なく使っている「電気」と、体験した発電実験が結びつき「電気を無駄遣いしないようにしたい」といった声をきくことができました。
毎日、手回しして電気を作るのは大変だけど、自然の力を利用して、使っても減らず、何度でも使える再生可能エネルギーが身近に広がっていることを伝えて、次の時間は太陽の力(ソーラー)と、発電実験で電球より簡単に灯りがつくことを体験したLEDライト2つの仕組みを利用して「ソーラーちょうちんランプ」をつくることを伝えて10分休憩に入ります。
休憩後は、ソーラーちょうちんランプをつくります。教室では、休憩時間を利用して、9人の先生が生徒さん一人ひとりにあわせた準備をしてくださっているようでした。
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いつもと同じ環境で、いつもと同じ仲間と、いつもとは違う体験ができるオンライン授業
ソーラーちょうちんランプのちょうちんは、折り紙を使ってつくります。生徒さんが作りやすいように準備した折り紙で、ゆっくりと声をかけて、手順を説明しながら進めていきました。
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こういうふうに切りましょう!ゆっくりと口頭で説明したあと、教室で工作を行いました
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のりをはる位置などがわかりやいように線がひいてあります
「皆さん、できたかな?」と声をかけると、教室から先生や生徒さんが大きな「〇」をつくってジェスチャーで知らせてくれました。このような身体をつかって表す合図は、オンラインのコミュニケーションでは、とっても有効だと感じました。
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大きな〇や、×、をつくることで、言葉で伝えなくても全員の様子がわかる合図になります
さあ、いよいよ生徒さんのソーラーちょうちんランプが完成です。作業が難しい生徒さんに先生が寄り添い、なるべく本人が最後までつくれるようにサポートされている様子が画面を通じ伝わってきました。
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完成したら「見せて~」と声をかけると素敵なちょうちんができていました
最後に、これまで学校で学習してきた資源のリサイクルをはじめ、身近にできるエコアクションをいくつか伝え、今日の感想をききました。「自分で(ソーラーちょうちんランプを)つくれて感動した」と、ちょうちんランプを片手にふってみせてくださった生徒さんや、「電気の無駄遣いをしないようにしたい」と電気の使い方への意識を語る生徒さんの声がありました。また、帰りの会のとき普段自分の言葉で発言することが難しい子も「楽しかった」という声があったと先生からうかがうこともできました。
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素敵なランプができあがりました
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そらべあぬりえの手作りうちわも用意してくれました
後日、学校より授業アンケートをいただきました。
学習へのコメント
・「そらべあ環境教室」の内容は子どもたちの学習に役立ちました。今、学習しているリサイクルのことと関連して地球温暖化について知ることができたと思います。
・具体的に環境問題でどんなことが起こるのか、映像や言葉で説明していただき、とてもわかりやすかったです。生徒達の中に地球温暖化という問題が、しっかり刻まれたようです。
・生徒達の言葉の中に「地球が暑くならないようにしないと」というフレーズがあり、印象に残ったのだと感じました。
・自分で作った提灯をとても気に入っていました。
事前準備へのコメント
・工作に時間がかかるかと心配していましたが、折り紙に印やテープを貼ってくださっていたおかげで、時間内に仕上げることができました。「自分で作った!!」と生徒達も嬉しそうでした。
オンライン授業へのコメント
・オンライン授業という初めての授業形態で、生徒も教員も緊張していましたが、そらべあさんの念入りな準備とご協力のおかげで、とても有意義な時間を過ごすことができました。ありがとうございました。
・感想発表のとき等、生徒の声を聞き取り、返事をしてくださってありがとうございました。
・画面の向こうに伝わっていることに気づいた(ジェスチャーなど)とき、生徒達はとても嬉しそうでした。
・初めてのZOOMを使ったオンライン授業で、何日も前から楽しみにしていた生徒もいました。こちらもマイクなどがあれば感想等をクリアに聞いていただけたのかなと感じています。今後の課題にしたいと思います。
保護者からのコメント
・「とてもすてきなちょうちんランプができていましたね。地球温暖化・エコについて考えていかないといけないと思いました。」という感想をいただきました。
そらべあ基金では、今回は岡山県立倉敷まきび支援学校の皆さんと、初となるオンライン授業を一緒に行うことができました。生徒の皆さん、先生方、ご協力いただきました皆さま、ありがとうございました。
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最後に一緒に、記念撮影「はいボーズ!」
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学校から届いた素敵なメッセージ
今回の授業は、2019年冬に京都発チャリティー専門ファッションブランド ジャミン(JAMMIN)とのコラボレーションによる寄付付きTシャツやバックなどのファッション製品の販売を通じて集まった寄付金を活用させていただきました。このコラボレーションの目的であった「環境教育活動を全国に広げたい!」点も一歩前進できました。本レポートにて活動のご報告をさせていただくとともに、ご支援をいただいた皆さまに改めまして御礼を申し上げます。ありがとうございました。
ジャミン×そらべあ チャリティーグッズ販売(終了しています)
https://jammin.co.jp/charity_list/190204-solarbear/
岡山県立倉敷まびき支援学校 当日のFacebookから
https://www.facebook.com/kurashikimakibishien/posts/159833469081489
岡山県立倉敷まびき支援学校