そらべあの物語

そらべあの涙を止めるために

今、地球に何が起きているのかを考えてみよう

北極海の氷が年々少なくなっている

そらべあ兄弟が住んでいる北極は、地球が暖かくなる「地球温暖化」の影響を最も受けやすい地域のひとつ。北極の氷の面積は10年ごとに3.5〜4%ずつ減り続けており、日本列島約8個分にあたる300万km²の海氷が姿を消したと言われています。


1980年代の9月最小期の平均的分布
図:1980年代の9月最小期の平均的分布
2012年9月16日(観測史上最小分布)
図:2012年9月16日(観測史上最小分布)

出典:宇宙航空研究開発機構(JAXA)

海氷は毎年3月から解け始め、9月に氷の面積が最も小さくなりますが、最近では、氷が解け出す時期が以前より早まり、秋に再び凍り出す時期が遅くなってきています。氷の厚さ自体も薄くなりました。このままだと、21世紀後半までに、北極の9月頃の氷はほとんど消えてなくなるという予測もあります。

氷が少なくなると、ホッキョクグマは生きていけない

ホッキョクグマは氷の上から獲物の動物を狙いますが、地球温暖化で氷が少なくなると、狩りのできる期間も短くなり、食べる物が少なくなってしまいます。また、海氷が減ってしまうと、獲物を求めて長い日数をかけて泳いで移動しなくてはなりません。そうなると体力が落ちて、出産する子どもの数が減ったり、泳いでいる間におぼれてしまう子グマが増えたりします。北極の氷の減少はまさにそらべあの仲間たちの生存を脅かしており、その結果、ホッキョクグマは絶滅危惧種に指定され、今後35年間で頭数が1/3以上減少すると言われるほどです。

地球が暖かくなってきている原因は?

二酸化炭素(CO2)がたくさん出るようになったから

地球は太陽の光を浴びて、生き物が快適に住める一定の環境を保っています。しかし近年、便利な生活と引き換えに、石油や石炭などの化石燃料を大量に使うようになり、その結果、大気中の二酸化炭素(CO2)が急速に増えてきました。その量はなんと、100年前の12倍に達するという統計もあります。

CO2は、太陽の光で暖められた地表から熱が宇宙へ逃げるのを防ぐ毛布のような役割をしています。つまり、毛布1枚なら心地よいけれど、今は2枚も3枚もかけてしまった寝苦しい状態と言えるのです。CO2は植物やサンゴにとってなくてはならない存在ですが、多くなり過ぎると、地球上のあらゆる生命を脅かすような環境の変化をもたらすのです。

図:二酸化炭素の量がちょうどいい時
図:二酸化炭素の量が増えすぎた時

このまま地球温暖化が進むとどうなるの?

北極だけじゃない、日本にも地球温暖化の影響が現れている

そらべあ兄弟が住む北極の氷がどんどん小さくなっていることからもわかるように、地球の平均気温は1880年〜2012年の間に0.85℃上昇しており、しかも、その上昇スピードも早くなってきています。このまま化石燃料を使い続けていった場合、100年後には最大で4.8℃も気温が上昇すると言われています。

日本においてもこの100年間で平均気温が1℃上がりました。以前に比べて、春の桜の開花が早まり、秋の紅葉の時期も遅くなっています。夏は猛暑日や熱帯夜が続き、大型台風、集中豪雨による被害が増え、農作物や生態系への影響が大きくなるなど、これまで見られなかった異常気象が日本でも至る所で増えているのです。


世界の地上気温の経年変化(年平均)
図:世界の地上気温の経年変化(年平均)
1950年から2100年までの気温変化(観測と予測)
図:1950年から2100年までの気温変化(観測と予測)

出典:全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト

世界でもたくさんの異変が起きている

海面水位が高くなる

北極や南極の氷が解けると海水の量が増えるとともに、体積も増え、海面の水位が高くなります。21世紀の終わりには、平均海面水位が約60センチも高くなると予測され、すでに満潮時や高潮の時に水没しつつある南の島も出てきています。世界の沿岸地域でも洪水や高潮による被害が増えそうです。

自然災害が増える

温暖化が進むと、雨の降り方が大きく変わり、これまでにないほどの大雨が一度に降ったり、巨大な台風が上陸したりする危険性が増えていきます。一方で、雨が少ない地域では、さらに大規模な干ばつが起きたり、暑さで空気が乾燥し、山火事が起きやすくなったりします。

農産物ができにくくなる

気候が変わって農産物が環境に適応できなくなると、リンゴやトマトが色づかなくなったり、米ができにくくなったり、病害虫が増えたり、作物の栽培適地が北へ移動したりと、将来、食料生産にもさまざまな影響が出てくるのです。

そらべあ兄弟のために、私たちができること

一人ひとりが行動しよう

そらべあ兄弟の住む北極に異変が起きていますが、北極の問題と私たちの毎日の暮らしはつながっています。北極での気候変動が、地球上のさまざまな地域で異常気象を引き起こすのです。

こうした気候変動を防いでいくには、今からでも地球温暖化を食い止めていく努力が必要です。一人ひとりが、小さなことでもいいから行動を始めてみる、それがとても大事です。電気、ガス、水道、自動車、使い捨て製品…。毎日使っている物が地球温暖化につながっているということに関心を持ち、節電・省ネをしながら快適に過ごせる方法を考えてみましょう。


親子ですぐにできる省エネアクション

  1. こまめにスイッチを切ろう
    テレビやパソコン、照明などを使わない時はこまめにスイッチオフ。
  2. 温度設定をしっかりしよう
    冷房、暖房、冷蔵庫、トイレの温水便座などの温度は弱設定で。
  3. 生活スタイルを見直してみよう
    早寝早起きは夜の消費電力を抑える。一家団らんで一緒に食事、一緒にお風呂など、できるだけ1回にまとめることが省電力や節水につながる。
  4. 水道の水を大事に使おう
    蛇口をこまめに閉めたり、シャワーを出しっぱなしにしない努力を。
  5. 公共交通や公共施設を使おう
    なるべくマイカーを使わず公共交通や自転車で。図書館なども上手に使おう。

温暖化防止のためのチャレンジアクション

  1. 太陽光発電など再生可能エネルギーを積極的に取り入れよう
    太陽光、水力、風力、バイオマスなど、地域にある自然エネルギーに目を向けよう。そして実際に取り入れよう。
  2. 断熱性能の高い住まい、風通しのよい住まいをつくろう
    断熱性の高いガラスを入れたり、断熱材をしっかり入れる。風や光、緑を上手に使って、少ないエネルギーでも快適に過ごせる家に。
  3. LED電球、省エネ家電など、エネルギー効率のよい製品を選ぼう
    家電、電球、自動車などの買い替えの時は、エネルギー効率、燃費などを比較して購入する。
  4. 物を「持つ」から「シェアする」へ
    カーシェアリング、レンタル商品など、必要な時だけ借りて使う暮らしへシフトする。