お知らせとレポート

そらべあ学生ボランティアクラブによる
世界のゴミ事情 〜フィンランド編〜

寄稿:さや(高校1年生)

突然ですが、皆さんはフィンランドと言う国をご存知ですか?
フィンランドはヨーロッパの北に位置し、森と湖が国土の8割程を占めると言われている、自然が非常に豊かな国です。また、国際的な研究組織「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」(SDSN)によるSustainable Development Report では、2022年のSDGs達成度ランキングで1位を獲得しており、環境への取り組みについての称賛も多く受けています。
そんなフィンランドで、私は2022年8月から約1年間の留学生活を始めました。
そこで今回は、フィンランドのゴミ処理、その中でもボトル処理における取り組みについて、実際に生活して発見したことを元に、長所と短所を考えてみました。

フィンランドでは、スーパーなどにボトル・ビンを回収する専用の回収機があり、そこにプラスチックボトル・ビンなどを入れると、お金が戻ってくるという仕組みがあります。

 

 

 

 

 

ボトルのサイズや種類によって戻ってくる値段が変わり、ボトルのラベルに明記されています。上の写真の例では、大きいペットボトルの方は0.40€(約55円)、小さいペットボトルの方は0.20€(約30円)となっています(2022年8月現在の円換算)。

お金が返ってくると言うことは、飲み物などを買う際には容器の値段も払う必要がある、と言うことになります。
フィンランドでは日本に比べて物価が高いと感じることが多くあるのですが、容器に料金がかかっているのもその要因の1つだと感じます。そのため、私は飲み物を買うのを躊躇することもあり、この取り組みの短所とも捉えられるのではないかと思います。

しかし、この制度には短所よりも長所が圧倒的に多くあり、日本をはじめ、より多くの国で行うべき取り組みだと私は考えます。
例えば、ペットボトル飲料の価格に容器代が含まれていることで、リサイクル回収や適切な後処理の動機付けになり、ペットボトルの資源としての価値を高めていると私は感じました。話がそれてしまいますが、フィンランドでは犬のふんや食べ残しはバイオウェイストとして分別をしていたり、可燃ごみの回収にはお金を払って回収してもらうこともあるので、資源を有効活用するフィンランドの姿勢が感じられます。

 

 

 

 

 

 

犬のふんのゴミ箱        生ゴミのゴミ箱

またペットボトル容器からお金を得られるため、空ボトルを回収している人が街中におり、街の環境づくりにもこの制度は貢献しています。反対に捉えれば、誰かが回収するだろうと言う考え方からポイ捨てが増えてしまう可能性もある点は、短所になるかと思います。
その他にも、街にある犬のふんを分別するためのゴミ箱と袋も、街を清潔に保つことに寄与しているのではないかと思います。

それ以外に、ペットボトル容器にお金をかけることで、リサイクルする際に使用できるお金が一時的に増えるため、処理を適切に行う体制が整えられると言う利点があるのではないかと思います。

このようにフィンランドでは、ボトル容器・生ごみ・犬のふんなどを「ゴミ」として捨てるのではなく、「資源」として再利用するための回収を、社会全体として取り組んでいるのではないかと、私は考えます。日本国内でも、このような制度が一部試験的に導入されているようです。身近に回収機を発見した時や、海外で見つけた際には使用して、資源の循環を支える一員となってみてはいかがでしょうか。

参考文献:
Sustainable Development Report. “Sustainable Development Report 2022.”
https://dashboards.sdgindex.org/rankings

キリンホールディングス ペットボトルのリサイクルに関する実証実験を開始
https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2022/0323_02.html