お知らせとレポート

「20年後、ごみが捨てられなくなる?」
@毎日メディアカフェ 開催しました

10月1日(土)の午後、そらべあ基金は小学生向けの環境ワークショップ「20年後、ごみが捨てられなくなる?」を毎日新聞社が主催する毎日メディアカフェ(東京都・千代田区)にて実施しました。全2回(各90分)開催し、参加者は合計46名の小学生とそのご家族で、会場は賑わいました。

プログラムは、第一部でごみの問題についてお話を聞き、第二部でその解決に向けて助けてくれる「なぞの生き物」や「未来のグッズ」を考えてお絵描きしてみよう!という内容です。

 

最初に主催の毎日新聞社 斗ケ沢秀俊さんよりご挨拶いただき、毎日メディアカフェでの取り組みと本イベントのご紹介をいただきました。毎日メディアカフェでは企業や読者、NPOとともに、様々なテーマを取り上げるイベントを開催し、クロスメディアで情報を発信されています。東日本大震災の復興や、防災、ビジネス力アップ講座、囲碁など、幅広いテーマについて、無料で参加できますので、ぜひ、チェックしてみてください。

毎日新聞社 斗ケ沢様よりご挨拶

 

その後、お笑い芸人で、現役のごみ清掃員でもあるマシンガンズの滝沢秀一さんがメインスピーカーとして登場し、第一部の開幕です。

現役のごみ清掃員でお笑いコンビ芸人
マシンガンズの滝沢秀一さん

 

滝沢さんは、11年前からごみ清掃員のお仕事を始められ、今では、日々目の当たりにする色々なごみや捨て方、そしてそこから見えてくる人々の生活や物の売り方、社会の格差など、ごみ清掃員ならではの視点で本を何冊も書かれ、テレビ出演やイベントなどで活躍されています。

会場では、滝沢さんの著書の販売会も

 

滝沢さんは、毎日毎日、ものすごい量のごみが出し続けられる現実を目の当たりにして、このままごみを出し、清掃工場で焼却して灰にして小さくしても、最終処分場に埋め続けたら日本は灰で埋まってしまうのでは?という疑問を持ったそうです。
そこで、早速、子どもたちにクイズです。「あと何年で埋め立て地がいっぱいになってしまうでしょうか?」子どもたちからは「50年!」「20年!」などの答えがでました。どちらも正解!東京都はあと約50年だそうですが、日本の全国平均ではあと22.4年と環境省のホームページのデータをみせながら教えてくれました。

クイズの正解者には新潟県粟島の廃棄物で作ったキーホルダーをプレゼント

 

ごみの最終処分場である埋め立て地は、あと22.4年でいっぱいになってしまうのに、埋め立て地を増やすという選択肢は、土地の確保や、近隣住民からの反対運動などでなかなか難しいというのが現実だそうです。ですが埋め立て地の寿命の予測は、前年度は21.4年だったのに、今年は1年伸びて22.4年となっていて、これはゴミの量を減らすことができたからではないかとお話してくれました。私たち一人ひとりがごみを捨てる量を減らすことで、埋め立て地の寿命が延ばすことができる、ということですね。

港区のデータを例に具体的に説明があり、ごみの28.1%を占める可燃ごみのうち、実は16.1%は資源として利用できる紙ごみ、また16.8%を占めるプラスチックごみのうち9.0%は資源として分別できるものだそうです。つまり「混ぜればゴミ、分ければ資源」となるので、分別がとても大事なんですね。

 

出典:港区平成30年度ごみ排出実態調査

 

では、30.6%と一番大きな割合を占める厨芥類(台所などででる生ごみなど)は、どうしたらいいでしょう?滝沢さんはホームセンターでコンポスト容器や黒土を数千円で買ってきて、微生物の力でごみを堆肥に変えているそうです。生ごみが消えてなくなり、植物を育てるために役に立つ堆肥ができるなんて、一石二鳥ですね。参加者のなかには「ミミズ」をつかったコンポストでの堆肥作りをされている方もいらっしゃいました。

このように色々な取り組みをすることで、4人家族の滝沢家では、以前は1週間に45リットルのごみ袋で6袋ほど出していたゴミが、最近は週に1袋程度にまで減ったそうです。すごいですね。

続いて、収集の現場で見つけた信じられないごみの写真を見せながら、感じていることをお話してくれました。


1ピースだけ食べたけどほとんど残っているピザ
「たぶん、1枚買うと、もう一枚プレゼントとかで
貰ったけど、食べきれなかったんだろうな。」

 

秋になるとお米が袋ごと捨てられている
「新米が出たから、もう古いお米のはいらなくなっちゃったのかな。」

 

大量に捨てられている洋服
「いわゆるファストファッションで手軽に安価で買える洋服は、飽きたらすぐ捨てられちゃうんだろうな。」

 

信じられないようなものがごみとして捨てられている現実をみて、滝沢さんは、作った人の顔が思い浮かぶような社会になれば、と感じているそうです。滝沢さんのおじいちゃん、おばあちゃんは腰や膝が痛いと言いながらも、新潟県の魚沼でコシヒカリを生産されているので、お米がごみになっているのを見ると胸が痛くなるそうです。世の中に最初からごみとして作られたものはなく、人が「これはごみかどうか」を決めているので、ものを買う時、使う時、捨てる時によく考えてほしい、と話してくれました。

では、ゴミを減らすためにどうしたらよいでしょうか?
キーワードは「3R」です。さすがに会場でも知っている子がたくさんいました。
この3R活動は、取り組むべき順番があり、リサイクル(材料として再利用)はエネルギーも人手もかかって大変なので、まずはリデュース(減らす)、リユース(別の人に使ってもらったり、別の用途で使うなど)を頑張ってほしい、と教えてくれました。

そして最後にゴミの問題は埋め立て地の問題だけではなく、海洋プラスチック、気候変動など、さまざまな問題とつながっているので、これらの問題を解決に近づけるには、一人ひとりが意識することでごみを減らすことが大事だ、というメッセージを伝えて、第一部を終了しました。

続いて第二部です。
そらべあ基金が現在募集中のおもしろ☆おえかきコンテスト「3Rをお手伝いしてくれるなぞの生き物、未来のグッズ」をテーマにお絵描きします。
そらべあ基金の下川より、コンテストの概要や特別賞では「毎日小学生新聞」に作品が掲載されること、そして全入賞者に素敵なプレゼントが贈られることを紹介しました。

入賞賞品の1つ、手作り蜜蝋ラップキットのご紹介

 

手作りみつろうラップキットは、オーストラリア発祥で、蜜蜂のろうをアイロンで溶かして布に染み込ませてつくるラップです。水で洗って何度でも繰り返し使えるので、ごみを減らすことができますし、口にふれても安全です。作るのも楽しく、My箸をくるんだり、お皿にかぶせたりなど多様な使い方ができますので、ぜひ一度使ってみていただきたいと思います。

<賞品のご紹介>

手作り蜜蝋ラップキット

 

そらべあマスキングテープ

 

みんなが健康に元気になるための「なわとび」

 

詳細はそらべあ「おもしろ☆おえかきコンテスト2022」をご参照下さい。

 

第二部には、お笑い芸人でイラストレーターの本田しずまるさんにも登場してもらいました。本田しずまるさんは滝沢さんの本にも挿絵を描かれています。
はじめに、「肩慣らしとしてみんなも一緒に絵を描いてみましょう!」とホワイトボードになにやら描き始めました。丸や三角、梅干(?)などなど組み合わせていくと、あっという間に「プラピッグ」の出来上がり。プラスチックの匂いを嗅ぎつけて、回収してくれるブタさんだそうです。

お笑い芸人でイラストレーターの本田しずまるさん

 

それから、事前に準備してきてくれたなぞの生き物キャラクター達を紹介してくれました。

分別三兄弟、過剰包装ダメ太郎、修理のマホウキンツギちゃんなど、絵と合わせたネーミングも大事ですね

 

そして、「自分の好きなものや、描けるものを描いて、そこから考えてみるのもいいよ」と発想を絵にするための秘訣をアドバイス。早速みんなもおえかきタイムスタートです。

なにを書こうかな、と発想を膨らませているのかな

 

滝沢さんと本田さんがみんなの席を回って、子どもたちに描きたい物のイメージを聞いてアドバイスをしたり 、途中まで描いてくれたものについて尋ねたりしていくと、子どもたちはどんどん自分の想像力を膨らませて、ゴミの問題を解決してくれるものの絵を描き上げていきました。

何を書くのかな?会場のスクリーンでみんなにも教えてくれました

 

べあくんも応援にかけつけてくれました

 

しずまるさんから絵の描き方のヒントをもらったよ

 

子どもたちのやわらかい頭で発想された3Rをお手伝いしてくれる「なぞの生き物」や「未来のグッズ」がたくさん生み出され、それぞれとてもユニークな作品が出来上がり、本ワークショップは終了となりました。
この時間を通して、参加者一人ひとりにも、どうやったらごみを減らせるのかな、ということを考えもらえたのではないかと思います。
参加してくれたみんな、どうもありがとうございました。

今回のそらべあ環境ワークショップはキユーピーグループ「QPeace」からのご寄付により実施いたしました。昨年に引き続き、グループ会社社員の皆様からのご支援と会社からのマッチングによるご寄付です。本当にどうもありがとうございました!
当日は、キユーピー株式会社 広報・グループコミュニケーション室の二宮さんにもご参加いだきました。キユーピーグループ オフィシャルブログでも当日の様子を発信してくださっているので、よかったらチェックしてみてください。

また、そらべあ学生ボランティアクラブのメンバー4名が受付、べあくんの誘導、ワークショップの準備や撤収など、積極的に動いて活躍してくれました。どうもありがとうございました!

そして最後に、現場にいるからこそ見えてくる貴重なお話を、軽快なマシンガン トークで面白くそして分かりやすく子どもたちに伝えて下さった滝沢秀一さん、 子どもたちのお絵描きの発想を膨らませ、優しく楽しくヒントやアドバイスをし てくださった本田しずまるさん、本当にありがとうございました!

おまけ

ゴミ出しの際に、こういうときありますね。
涙やため息、でちゃいそうですよね。
イラスト提供:滝沢さんの奥様