お知らせとレポート
71基目のそらべあ発電所が完成
~愛媛県松山市大護さとやま認定こども園~
2020年11月18日、愛媛県松山市の学校法人大護学園 大護さとやま認定こども園に第71基目となる太陽光発電設備「そらべあ発電所」が完成しました。今回のそらべあスマイルプロジェクトでは、 自然に恵まれた環境を活かした数々の優れた環境教育活動の実践を高く評価し、全国の応園から「大護さとやま認定こども園」を選考し、ソ二ー損害保険株式会社のご協賛により寄贈いたしました。同社による「そらべあ発電所」の寄贈は28基目となります。
大護さとやま認定こども園の創設のきっかけは、戦後、警察官を退官後に様々な事業へ取り組んた創立者が、ある日たまたまラジオで聞いた「日本は経済的に発展したが、本当に国を護るのは教育である」という政治家の言葉に心が震えたことだったそうです。50代半ばでそれまでの事業とは全く異なる幼稚園設立を志し、48年前の1973年3月に愛媛県松山市内に大護幼稚園が設立されました。
園名にある「大護」とは大きく護る(まもる)、大護神社に由来します。30年前に松山市が一望できる見晴らしのよい畑寺町に園舎を移転。緑の木々に囲まれた自然豊かな環境にある同園は、約284名( 2021年3年11日現在)の園児が通われる大規模な園です。
「子どもはみな生きる力を持っている」~生きる力とは~主体的・積極的に人生に挑戦するための「自信」と、他人の気持ちに寄り添うことができるおもいやり。
園の応募書類に添付されていた入園案内には、上記の理念が記載されていて、この理念の下、自然のなかで遊び、遊びの中から思考カ・判断力・表現力・知識や技能等の基礎を身につけ、学びに向かう力や人間性を育くむことを園の特徴とされていることや、その取り組みが豊富な写真で紹介されていました。
また、里山には遊びの基がたくさんあり人工的なおもちゃや遊具がなくても遊びが充実していること、畑が十分にあって、春夏秋冬の野菜を作ってそれらを食べること、山には山羊もいて自然に触れ合える環境であることなど、その魅力と園の理念が記載されていました。
ちょうど1年前の2020年3月、そらべあ基金の事務局スタッフが同園を訪問しました。バス通りから少し歩くと軽く山を登るような傾斜の坂道が続き、明るく開けた園舎が見えはじめます。山の斜面を利用した柵には、応募書類の通り、山羊2頭が放牧されていました。畑では例年写真のようなサツマイモなどの野菜の栽培もされています。同園の大きな魅力である園舎裏山の「だんだん山」の上にある展望台を目指して、門の前で園児さんが集合し前の子につながるように列をつくって散歩に歩き出す姿を見送りました。
同園では、子どもたちには、ありのままの自然でのびのびと遊んでほしいと願い、だんだん山での自然保育を実践されています。裏山の斜面や不整地には倒木や下草・岩石があるため、転倒して擦り傷や打撲ができたり、虫刺されや、棘のある草花や有毒な植物に触ってケガをする可能性など、たくさんの危険が想定されます。しかし「リスクがあることは、やってはならない」ではなく「リスクに対する備えをしっかり考える」ことで、起こりうるリスクを知ってその備えをルール化し危険を未然に防ぎ、子どもたち自らが【生きる力】を育める場をつくるための努力を続けられています。山頂に赤い鳥居があるのは、だんだん山の神様が「生き物や植物を大切に、ルールを守って遊べるかな?」とみんなを見守っている証であると子どもたちに伝えているそうです。
夏は山の涼しい木陰で遊ぶことでエアコンをつけて部屋で過ごす事を極力減らしています。また、温暖な愛媛でも冬は山麓の寒さは厳しくなりますが、過保護な環境より寒さに耐えられる場所を選んで外遊びで体力づくりを行っています。積極的に外で山登りをして体力をつけ、園遊びの集大成として松山市畑寺町にある淡路ケ峠(標高273m)の登山に挑戦した結果、全園児が登頂できたことは子どもたちの自信につながっているという話も伺いました。
2020年11月に太陽光発電設備の工事完了後、寄贈式典の準備を進めてきましたが、新型コロナウイルス感染症が拡大したことで中止し、その後、オンライン式典での開催検討を続けましたが終息が見えない状況により、ソニー損害保険株式会社をはじめ関係者間で協議を重ねた結果、式典に関わる全ての方の安全面を考慮して寄贈式典は残念ながら中止といたしました。園では年度内には、何かしらのキックオフとなるような催しを希望されていたことから、卒業式を間近に控えたお天気の良い3月11日、そらべあ基金から環境ワークショッププログラムとその資材一式をご提供させていただき、同園の職員の皆さまによって、「そらべあ発電所のお祝い会」を園内で実施いただきました。同園の井上美鈴先生の司会で会が始まりました。
北極で暮らす「そら」と「べあ」が園を訪問し、そらべあたちが涙を流しているわけを紙芝居で読んでもらい、北極の氷が溶けている原因の1つに、世界中が関係している「地球温暖化」の問題があることや化石燃料を燃やさず二酸化炭素(CO2)の排出を抑え自然の力で電気をつくることができる「自然エネルギー」の1つである太陽光発電設備が、園舎の屋根に設置されたことを、スライドでご紹介いただきました。
皆さんが毎日通う園ですが屋根がどうなっているのか、きっと初めて目にした園児さんも多かったことでしょう。この太陽光発電設備によって、お天気の日は太陽エネルギーで部屋が明るくなる「電気」ができることに驚いたのではないでしょうか。電気をつくる、という話から、電気は運動エネルギーでもできることを伝え、園児のみなさんには「発電実験」を体験してもらいました。
発電実験では、150名を超す年長児と年中児一人ひとりが列をつくって自分の番を待つ姿に心を打たれて時問を延長し、白熱電球と蛍光灯とL E D電球の3つの電球を点灯させる比較体験や、扇風機の回転の実験体験を全員で行ったと伺いました。このような環境教育の場づくりに、当日までご準備くださった教職員の皆様に、改めて深く御礼を申し上げます。ありがとうごさいました。
寄贈記品として、そらべあ絵本やそらべあスイッチシールをセットで園にお届けしました。園児さんが家庭に戻り、 ご家族にそらべあのお話をしてくれたり、家庭のスイッチにシールを貼って節電に関心をもっていただけたら嬉しいです。
今回の「そらべあ発電所」の寄贈をきっかけに、どのような園活動へと発展しそうかを理事長の仙波得伸さんに伺いました。
― (そらべあ発電所お祝い会の)参加園児が、発電実験を体験したことにより発電する仕組みを知ったことで、今後は日常生活のあらゆる場面において、こまめに電気を消す、コンセントを抜くなど、節電の気持ちが芽生えたのではないかと想定できます。又、イベントでのそら君べあ君の涙の訳がわかる「そらべあ」物語の記念絵本を各家庭に持ち帰って話したり、スイッチシールを各家庭のスイッチの所に貼ることで、家庭内でもエコの意識が芽生え、エコ活動が伝播していくことが期待できます。
貴園での「環境教育」実践活動から、他園やご家庭でも取り組みやすい活動や工夫なとについてアドバイスもいただきました。
-頂いたスイッチシールをコピー &ラミネートし、各所に貼りました。園生活で節電意識が芽生えると同時に、家庭でも節電意識が生まれると想定されます。本園ではゴミの排出量をなるべく減らすため、保護者の連絡はメール配信を主に、紙媒体でのお知らせは極力減らしています。又、校納金支払いもクレシットカードやコンビニエンスストアで支払いが出来るシステムを構築し、請求書・領収証などの紙ベースのやり取りを削減しています。
「そらべあ発電所お祝い会は、サッカーでいうキックオフと捉え、これを機に職員で工夫しながら環境教育を園児のみならす園児をとりまく人たちに浸透させたい」とメッセージをお寄せいただきました。今後の園での取り組みが更に深まり、豊かな活動となることを期待しております。
最後に、大護さとやま認定こども園の皆さま、ご協賛いただいたソ二ー損害保険株式会社の皆さま、ご協力いただきまして大変ありがとうごさいました。
第71基目寄贈園 愛媛県松山市 学校法人大護学園大護さとやま認定こども園
第71基目寄贈のご協賛 ソニー損害保険株式会社の取り組み
撮影・写真提供:JAM (愛媛県松山市)