お知らせとレポート
みんなでチャレンジ!エコアクション
~里山で自然の循環、ありがたさを知る~
@愛媛県松山市 大護さとやま認定こども園
「そらべあ発電所」を設置した全国の幼稚園・保育園・こども園では、園児さんと様々なエコアクションにチャレンジされています。
どんな活動をどのように取り組み、どんな変化がうまれたのかを先生へインタビュー。
素敵なエコアクションを全国に広げるためにご紹介していきます。
今回お話を伺ったのは、愛媛県松山市にある大護さとやま認定こども園(2019年寄贈)の田中 真由美園長と西山 知里副園長。同園は里山に囲まれた豊かな自然を活かし、保育活動をされています。園の最近の取り組みについてお話を伺いました。(2023年10月取材)
お話を伺った、田中 真由美園長と西山 知里副園長
― 園の裏に里山があるという自然豊かな環境ですが、実り多い秋の里山ではどんな活動をされていますか。
最近はどんぐり拾いをしたり、葉っぱの色づきを感じています。イチョウの葉っぱを集めてブーケを作ったり、帽子の飾りにして遊んでいる子もいます。今年は秋の素材や廃材を使ってお店屋さんごっこをする予定です。今まではどんぐりなどを拾って終わりだったのですが、制作に繋げてみようということになり、まつぼっくりに棒をさしてリンゴ飴を作る子、どんぐりでクッキーを作る子など様々です。
― 落ち葉や飼っているヤギの糞などを活用し、堆肥づくりにチャレンジされたそうですが、きっかけや工夫した点など教えてください。
これまでは落ち葉だめに落ち葉を集めてはいたのですが、活用することなく終わっていました。そこで2年ほど前、外部の勉強会に参加したスタッフから話が持ち上がりバスの運転手さんが堆肥づくりに詳しいこともあって協力してもらいながらチャレンジしてみました。子どもたちはゲーム感覚で落ち葉をたくさん集めて運んでくれます。落ち葉がぽろぽろと細かく砕け土に変化していく様子を観察し、落ち葉が畑の肥料になるんだよ、とお話しをしました。堆肥の中にカブトムシの幼虫も見つかりました。飼育に詳しいスタッフが、黒画用紙を巻いたペットボトルに幼虫を一匹ずつ入れて、カブトムシの変態を観察するときだけ画用紙をはずして見られるように工夫してくれました。このスタッフは園の卒園児で、現在はスタッフとなって活躍してくれています。
― 落ち葉堆肥を使って今年は野菜づくりにチャレンジされたそうですが、どんな体験が出来ましたか。
1年くらいかけて作った堆肥を使って野菜を育てました。夏にはきゅうり、トマト、なす、ピーマンを収穫し、自分たちで切って食べたり、大きくなりすぎた野菜はおままごとに利用したり、給食室で調理してもらい味わい楽しみました。秋にはさつまいも掘りをして、とても大きなさつまいもが穫れました。また食べるだけでなく、穫れた野菜で染め物にもチャレンジしました。なすの皮や玉ねぎの皮、野菜以外では桜の木、ネコジャラシ(エノコログサ)を使って、お泊り保育で着るためのTシャツを好きな材料で絞り染めし、オリジナルTシャツを作りました。「なすの皮は黒いけど、染めると青っぽい」「桜の木は桜餅の香りがする!」など五感を使って楽しんでいました。
なすの皮、一生懸命剝いているよ
― 園の環境活動から家庭への波及効果などはありますか。
コロナ渦から、ここ数年はご家庭との交流があまり出来ていませんでしたが、今年は「自然で遊ぼうの会」を実施予定です。そこで、おうちで出来る竹の枝を使った「スモア」作りや、園庭での堆肥づくりのことも紹介していけたらと思っています。「一人一鉢」という活動があり、一人に一つ専用のプランターがあり、夏野菜や球根植物などを育てています。その土は現状購入しているので、園で作った堆肥を活用していきたいです。また希望するご家庭には堆肥を配布していけたらと思っています。
― 雨水を使ったスライム作りにチャレンジされたそうですが、やろうと思ったきっかけや子どもたちの反応はどうでしたか。
ある先生が水道の水は限りある資源なので、「スライム作りには、雨の水だけしか使えないことにしてみよう」と思いついたのがきかっけでした。雨水の貯め方に個性があらわれ雨の日に窓の外にタッパーを持った手を伸ばしタッパーに雨水が溜まるのを待つ子、待ちきれなくてスライム作りを諦める子、次の日が雨という予報を知って大きなたらいを事前に外に用意する子、雨水が溜まる場所を探しに行く子、年長さんに雨水がどこにたくさん溜まっているか聞きに行く子など、様々な行動が見られました。もともと雨の日でも外で活動することが多く、雨のしずくや水たまりの泥が濁る不思議など、雨の日の様子を観察することはありましたが、雨水を使って遊べるという体験は初めてだったので子どもたちにとっていい刺激になったと思っています。
― 先生方の自然を活かした遊びの発想が、とてもユニークに感じますが、スタッフへの環境教育や、勉強会、情報交換などをする機会はあるのですか。
私(副園長)は少し前までは、園にある自然で遊ぼう!くらいの意識でしたが、2年前に「しまなみアースランド」で開催された森を使った遊びの勉強会に参加し、たくさんの気づきがありました。翌年の春は園のスタッフ全員で参加しました。勉強会の参加をきっかけに、自然を活かして、こんな遊びをやってみよう、という活動の幅が広がり、園の研修会でも自然を活かした活動の情報共有をするようになったと思います。
当園は里山が近くにありますが、里山の生き物の循環などの知識もなかったので勉強し、子どもたちに伝えるようにしています。また虫取り網を使うのを止め、子どもたちとどうやったら獲れるか考えるようにすると、虫がいる場所を探すようになりました。そして命ある生き物である虫はキャッチ&リリースで逃がすようにしています。どうしても飼ってみたい場合はクラスで話し合い、期間を決めて飼うようにしています。
園内では、新しいスタッフに対して、節電などの取り組みを特に厳しく指導しているわけではないのですが、先輩スタッフを見て自然と使わない電気は消すようになり、子どもたちに静かにしてほしい場面では照明を落とすなど、上手く電気を利用しています。子どもたちが電気を消してくれることも多いので、スタッフも意識するようになっています。「そらべあ発電所」や「そらべあスイッチシール(節電啓蒙シール)」がきっかけになっているのだと思います。
子どもたちが自然の営みを知ることで、自分も自然の中に生きていると実感し、自然を大切に出来る心が育っていってくれるとよいですね。
たくさんの貴重なお話をいただきました田中 真由美園長先生、西山 知里副園長先生、ありがとうございました!
◆大護さとやま認定こども園「そらべあ発電所のお祝い会(2021年3月開催)」のレポートはこちら
みんなでチャレンジ!エコアクションとは?
そらべあ基金では、そらべあ発電所を寄贈した園での様々なエコアクションなど環境教育活動のアイデアやヒントをご紹介しエコアクションの更なる活性化につなげたいと期待しています。
今回の取材・記事化は、株式会社ハンズのご寄付により実施いたしました。どうもありがとうございました!